GEKKAN-WIEN ウィーン日誌

   平成元年創刊 現地オリジナル取材と編集でウィーンを伝える           現地情報紙「月刊ウィーン GEKKAN-WIEN 」の編集長が綴る

天守物語&大田楽

 民族学博物館で昨晩と今晩、日本オーストリア交流年2009のイヴェントとして『天守物語』と『大田楽』が公演された。楽劇『天守物語』は、原作が泉鏡花の最高傑作と言われる作品だが、その美しい日本語に魅せられて女優の松坂慶子 Keiko Matsuzaka さんがライフワークとしている朗読芝居である。大人のメルヒェンのような幻想的で怪奇的な物語が、稲葉明博 Akinori Inaba さんの笛など吹奏楽器と友吉鶴心 Kakusin Tomoyoshi さんの太鼓など打楽器の効果的な演奏で、緊張感をもって演じられる。中央に獅子像が置かれただけの簡素でコンパクトな舞台だが、場面ごとに美しい衣装で登場する主演の松坂さんと、脇を固める野村万蔵 Manzo Nomura さんや山下晃彦 Akihiko Yamashita さん、菅原香織 Kaori Sugawara さん、 松田一亨 Kazuaki Matsuda さんたち のまさにプロフェッショナルな演技によって、舞台には色彩に満ちた華やかさが漂った。観客から大喝采を浴びた後、第二部の中世芸能『大田楽』が始まった。これは野村万蔵さんの兄、故野村万之丞さんの創作である。狭い舞台には上りきれないほどの踊り手が派手な色の衣装でエネルギッシュに舞う。その中には特訓を受けたウィーン在留邦人10名がいて、編み笠を深く被っているため顔の判別が出来なかったが、掛け声も勇ましく元気に踊っていた。『大田楽』はどこで公演するにしても必ず現地の人が出演するとのことだ。主たる楽器は横笛で、最初から最後までフォルテッシモ。庶民エネルギーが炸裂するようなリズムと躍動に満ち溢れ、おおいに楽しんだ様子の観客から強い拍手が沸き起こった。
 ウィーンにいると世界一流のオペラやコンサートを最高の会場で生で鑑賞できる機会に恵まれるため、観客も本物志向が強い。今回の公演の会場となった民族学博物館の正面ホールは、天井が高く壁も床も柱も本物の大理石なので音が硬く響くため、せっかく美しく発声した日本語も語尾が残響で聞き取りにくいという欠点があったものの、その反面、弱い音もよく響き渡り、松坂さんのささやくような歌声がとてもきれいに流れた。月刊ウィーン8月号に掲載された公演の案内で知って見に来たという多くのウィーン在留邦人やオーストリア人から「期待した以上の美しさと迫力」「演技がすばらしい」「生の醍醐味を味わえた」「カラフルできれいでとても楽しかった」「明るくて元気になった」「また見たい」と満足そうな感想を聞くことが出来た。

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21区の収穫感謝祭

 東京の葛飾区と姉妹区を結んでいるウィーンのフロリッズドルフ(21区)で今日、収穫感謝祭が行なわれた。今年は日本オーストリア交流年のため、≪日本テント≫も特別出店し、緑茶、カレー、コロッケのフードコーナーもあり、和風小物や藤田りん子 Rinko Fujita さん(写真右の青い浴衣姿)の手作りアクセサリーなどが展示販売され、折り紙コーナーでは実演と指導が行なわれた。

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ウィーン国連ビル30周年

 ドナウのほとりに建つ国連ビル、VICウィーン国際センター Vienna International Centre が今年で30周年を迎えた今日、同所で記念式典があり、国連の潘基文事務総長、オーストリアのフィッシャー大統領、シュピンデレッガー外相、ウィーンのホイプル市長が挨拶した。

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天守物語&大田楽 記者会見

 王宮の民族学博物館 Museum für Völkerkunde で明日8月28日と29日の19時から、楽劇『天守物語』(松坂慶子 Keiko Matsuzaka 主演)と『大田楽』(野村万蔵 Manzo Nomura 主演)が公演される。これに先立ち今日、記者会見があった。≪日本オーストリア交流年2009≫イヴェントのひとつで、和泉流狂言方の野村萬 Man Nomura (人間国宝)を会長とするNPO法人ACT.JTがオーガナイズした

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ウィーンのコウモリ

 ウィーンの≪こうもり≫といえばヨハン・シュトラウスのオペレッタだが、ウィーンの≪コウモリ≫は厳格な保護の対象となっている。ウィーンには21種が生息し、ヨーロッパの都市では最大である。ヨーロッパのコウモリの保全に関するボン条約の枠内にあるユーロバット EUROBAT は毎年8月最後の週末に『コウモリの夜 Fledermausnacht 』を開催しており、今年は8月29日、ウィーンで行なわれる。5区の区役所 Schönbrunnerstrasse 54 で19時から講演があり、その後ブルーノ・クライスキー公園に移動して21時頃から超音波探知器を使ってコウモリの観察を行なう。予約不要。参加無料。

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オーケストラ世界トップテン

 ザルツブルガー・フェストシュピーレ(いわゆるザルツブルク音楽祭)のプレスオフィスから今日メールがきていた。それによると、英国の専門誌「グラモフォン」が国際的に著名な音楽批評家たちに世界のベスト・オーケストラはどれかアンケートをとったところ、次のような結果が出たという。
 Gramophone’s Liste der Top 10:
 1) Royal Concertgebouw Orchestra, Amsterdam
 2) Berlin Philharmonic Orchestra
 3) Vienna Philharmonic Orchestra
 4) London Symphony Orchestra
 5 Chicago Symphony Orchestra
 6) Bavarian Radio Symphony Orchestra
 7) Cleveland Orchestra
 8) Los Angeles Philharmonic
 9) Budapest Festival Orchestra
 10) Dresden Staatskapelle

 サルツブルク・フェストシュピーレでは今週、このグラモフォン・トップテンのトップを占める4オーケストラのコンサートが開催される:コンセルトヘボウ8月29日、ベルリン・フィル8月30日、ウィーン・フィル8月27日と29日、ロンドン交響楽団8月26日。

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訃報:トニー・ザイラー

 スキーのトニー・ザイラー Toni Sailer さんが昨日、地元のチロルで亡くなった。所属するキッツビュール・スキークラブが「長い闘病生活の末に亡くなった」と本日早朝伝えた。脳腫瘍だった。享年73歳。本名はアントン・エンゲルベルト・ザイラー Anton Engelbert Sailer で1935年11月17日チロル生まれ。1956年冬季オリンピックで初のアルペンスキー3冠王となり、戦後オーストリアの若いアイドルとなった。選手引退後は俳優、歌手としても活躍した。

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チェコ首相

 チェコ共和国のヤン・フィシェル Jan Fischer 首相(写真左)がオーストリアを公式訪問し、ウィーンの首相府でヴェルナー・ファイマン Werner Faymann 首相と、金融危機、テメリン原発を含むエネルギー安全問題、道路建設、二国間社会交流などについて会談した。今年前半期にEU議長国だったチェコは春に内閣解散、10月の総選挙まで暫定的に首相が指名された。チェコ統計局から抜擢されたフィシェル首相は質問に答え、選挙後に政界にとどまる意志はないと語った。

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明日アルベルティーナ閉館

 アルベルティーナ美術館は明日9月20日、特別休館となる。
 なお特別展「印象派」は9月12日から2010年1月10日まで。オーストリア大統領がテープカットする。印象派展が始まると、相当の入館者が予想されるので、訪館日が決まっていたら予め入場チケットを買っておくことができるのでおすすめしたい。ゴッホ展ではチケットを買うために並ぶ人の列が長く続いた。

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訃報:歌手ヒルデガルト・ベーレンス

 オーストリア宮廷歌手でソプラノ歌手のヒルデガルト・ベーレンス Hildegard Behrens (1937年2月9日ドイツ~2009年8月18日日本)さんの急逝を悼むメールが今日の午後、シュターツオーパーとザルツブルガー・フェストシュピーレのプレスオフィスから月刊ウィーンにも送られてきた。どちらも亡くなった場所について書いていないが、ORF(オーストリア放送)ラジオではお昼あたりから「東京でベーレンス急死」のニュースを繰り返し流した。ネットでは毎日新聞が「草津で」、共同通信系は「東京の病院で」、招聘元の草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルのホームページでは「東京都港区の病院で午後4時50分動脈瘤破裂のため」、ロイターなど外信系は関信越音楽協会の報道発表として「東京の病院で」とある。≪葬儀はウィーンで≫とも言われているので、分かり次第本ブログで報告したい。

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美味しいウィーンの水

 美味しいことで知られるウィーンの水。もちろんタダではない。最近はレストランでもミネラルウォーターはもとより、水道水も注文すれば料金がかかる。だがアルプスの環境&水源保護地帯から長いパイプを通って運ばれてくるこのウィーンの水道水が、市内各所の飲料水スタンドなら無料で飲めるのだ。高さ3メートルのシルバーカラーのスタンドは Wiener Trinkbrunnen といい、ウィーン市が昨年夏のサッカー・ヨーロッパカップの際にファンのために初めて提供したものだが、評判がよくて、その後もドナウインゼルフェスト(ドナウ島祭)で使われていた。今年夏は市庁舎前広場や王宮ヘルデンプラッツ(写真)、グラーベン、プラーターなどに設けられ、ツーリストのみならず住民の喉の渇きを癒し、未だ暑いウィーンの夏の日の≪都の泉≫になっている。
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マイケル・ジャクソン追悼コンサート

 ウィーン市が今日発表したところによると、故マイケル・ジャクソンさんの追悼コンサート「ザ・トリビュート The Tribute」が9月26日にシェーンブルン宮殿前(エーレンホーフ)で開催されることが決まった。チケット発売は8月20日17時から。詳細は http://www.tribute2009.com
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岡崎信吾さんの絵画が焼失

 ウィーン在住の画家・岡崎信吾 Shingo Okazaki さんのほぼ全作品が火災の犠牲になり、本人はもとより関係者も強いショックを受けている。
 8月7日夕刻、ウィーン市内のレンタル倉庫から出火し、同所に保管していた岡崎さんのおよそ70点の作品も焼失したとみられている(現場検証中)。このため8月11日から予定していたウィーン1区 Wollzeile 1-3 の画廊「タイム」での岡崎信吾個展は急遽取り止めとなったが、岡崎さんの自宅にあった数点を出展してオープニングだけは行なった。岡崎さんの個展スペースには、隣のホールで個展を同時開催中のマレーシアの若手画家の作品がおかれている。オープニングでは画廊店主と美術評論家による経過説明の後、岡崎さんの作品を前にピアノ演奏があった。
 なお岡崎さんは現在、10月5日から横浜で開催される展覧会に出品するため、全力を傾けて制作活動に没頭している。
 日本での「岡崎信吾個展」:横浜ギャルリーパリ Galerie Paris 10月5日から10日まで。
10月5日17時オープニング(岡崎さん出席) 開館時間:5日13時~19時、6日~9日11時~19時、最終日10日11時~17時 場所:横浜市中区日本大通14 三井物産ビル1階 最寄駅:JR根岸線「関内」駅南口または横浜市営地下鉄「関内」駅下車徒歩5分、みなとみらい線「日本大通り」駅3番出口すぐ。電話045-664-3917
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自然史博物館120周年

 自然史博物館 Naturhistorisches Museum が今年8月10日で創立120年をむかえた。

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月刊ウィーン8月号

月刊ウィーン2009年8月号
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1頁 表紙絵画:ヴァルトミュラー
2頁 近藤常恭のウィーン・ア・ラ・カルト「ナポレオンの置土産1」
3頁 杉本純の原子力の話「欧州原子力事情・フィンランド」
4頁 イムプルスタンツ/リヒテンシュタインの日曜演奏会/グラフェネック音楽祭
5頁 テアター・アン・デア・ヴィーン/市庁舎前広場音楽映画祭/オペレッタ/ワイン祭
6頁 名店ガイド/旧市街(ユネスコ世界遺産)/交通地図
7頁 日本室内オーケストラ・モーツァルトの夕べ/シュテファン大聖堂のモーツァルト
8頁 須永恒雄のブルックナーのウィーン「ハイドン没後200年」/教会音楽
9頁 日本語ツアー/イヴェント・フェスト/スペイン乗馬学校/日系レストラン
10頁 ウィーン知っておくといい話「美術館・博物館」
11頁 河野純一のウィーン知らなくてもいい話「ヨーロッパ最短の市電」
12頁 写真:服部譲二デビュー/アルベルティーナ水害/鉄のカーテン崩壊20周年

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